真面目系クズの自由帳

風呂えもんが日々考える事柄を書き綴るよ。ツイッターやってるよ。おしゃべりしようず。

上野の夜に恐怖した日

「さーて、2軒目はオッパイでも行くかー。」
 
私はその言葉に恐怖した。
これは大学時代に久しぶりに高校時代の部活動の友人6人程度と会って酒を飲んでいた時だった。
 

 

風呂えもんは高校時代に野球部というタマを棒で云々かんぬんという卑猥な部に所属していた。
それなりに野球が得意であった私は、一応「1」というチームで一番上手い投手がもらえる背番号をもらい、それなりの地位にいた。プロに行くほどではないが努力もし、野球も上手く、ひょうきんで弁も立つ、ただ人をまとめるようなことはできないのでキャプテンではない。それが風呂えもんの部活内での立ち位置だった。そんな「部活の中心メンバー」とも言える私がその瞬間恐怖したのである。
 
突如、オッパイという意味不明な場所への訪問を提案された私は冷静を装いながらも、内心は穏やかではなかった。
「なるほどね。」
それは精一杯の強がりだった。
 
それはあたかも、
「私の中には多くの選択肢があって、その中にはオッパイももちろん存在していたよ。だから君のその提案も私の想定内だよ。」
という意味の「なるほどね。」だった。
しかし、いくら身振り手振りや発言で外見を取り繕っても膝はガクガクと震えだし、下半身のアレは隆起していた。もはや外見も取り繕えていなかっただろう。
 
そして少しショックでもあった。男子三日会わざるや括目して見よ。昔、青春時代を白球を追うことにだけに捧げ、異性を切り捨てた同士が、卒業後数年で変わってしまっていたことに。けど風呂えもん、勃起はしていた。
 
当時の風呂えもんのアレは絶賛未使用であり、日夜ティッシュとゴミ箱を妊娠させようと励んでいた。
もちろんオッパイなど触ったことがない。そんな未知との遭遇に対して
「けど、お高いんじゃないんですか?」
と言うクソみたいな言葉で牽制することしかできない。そしてそれはあまりにも無力。夜の上野駅周辺の喧騒に掻き消された。まあ、本当は行きたいからオッケーオッケー^^。
 
私達は居酒屋を出ると、道行く人に「オッパイオッパイ」と話しかけているとても常人とは思えない、気が狂ってるとしか思えない、そういう男の人を見つけ出し、2つ、3つ会話をしてそのオッパイ男に付いて行った。案内されたのは雑居ビルの一角の怪しい店だった。
 
殺風景な待合室で色水のような酒を飲まされる風呂えもんの心臓ははち切れんばかりだった。
これは緊張ではない、心臓が下半身に大量の血液を流し込んでいるのだろう。そう自分に言い聞かせた。
 
なぜなら風呂えもんは動揺を見せるわけにはいかなかったのだ。
今日は昔の高校野球部の集まりである。その昔、チームの背番号1を背負ったエース、風呂えもんが動揺を見せてしまっては、チーム全体の士気に関わる。エースたるもの常に堂々とし、決して不安な顔を見せてはいけない。それが野球部監督の教えだった。私はそれを忠実に守りこう言った。
 
「オッパイなんていつでも揉めるのに、金がもったいねえなあ。ワハハ。」
 
そんなわけがなかった。直近1週間で私が揉んだことがあったのは自分の金玉くらいのもの。その時だけ自分の金玉にオッパイと命名することでなんとか事なきをえたのである。
 
私は怪しげな男に薄暗い部屋のソファに案内された。
この部屋の暗さが少しだけ私の緊張を解きほぐしていった。
そのままソファに座り、少し時間が経過して風呂えもんの気持ちが落ち着いてきたのも束の間、私はまた恐怖することになった。そう、知らない女の子が話しかけてきたのである。
 
嬢「こんにちわ―。よろしくおねがいしまーす。」
風呂えもん「あー、よろしくオッパイ^^」
 
ナメられてはいけない。これからナメるのだから。
そう思って語尾にオッパイを付けて、精一杯のオッパブ常連っぽさを出した。オッパブ常連が恥ずかしいものだと気付くのは、それからしばらく経ってからの事。それはまた別の話。
 
嬢「お酒飲みますか?」
風呂えもん「うん。適当に作っといて^^」
 
その時作られたお酒は永遠に飲まれることはなかったのだ。
これから風呂えもんの口はオッパイで忙しくなる。
 
嬢「じゃあ、触りますか?」
風呂えもん「あー、まあね^^」
 
この「まあね」とは一体なんなのかわかるだろうか。
「まあ、そっちがそういうのなら」の「『まあ』ね」だ。
「私は別に触りたくはないけど、君が言うなら仕方ない。触ろう」という意味合いでマウントを取りに行ったのだ。多分。
というわけでここまではいたって順調。
 
嬢「ブラジャー外して?」
 
来たのである。否、来てしまったのである。招かれざる客が。
これはもしかしたらあるかもしれないとは思っていた。
 
「こういう店は揉まれる前提だからノーブラであってくれ。頼むぞ。」
そんな私の希望は脆くも崩れ去った。風呂えもんはブラの仕組みをよく知らなかったのだ。
 
風呂えもん「ウーン。クラクテヨクミエナイヨー」
 
そう言って暗闇のせいにして、私は必死でブラを外そうとした。
 
この時女の子は風呂えもんの膝の上に乗っており、対面していたのである。
そして、ブラのホックは女の子の背中側に付いていた。
 
ここまで言えば聡明な方々ならもうわかってもらえるだろう。
例え、部屋が明るかろうと暗かろうとホックは見えないのだ。物理的に見ることができないのだ。
私はこの時、何を見ようとしていたのだろうか。今となってはわからない。
 
ただ幸いにも、ブラには「ホック」があるという事前の知識を元に時間はかかりながらもなんとか外すことができた。正味2、3分だろうか。
 
私は2、3分もの間、見えないものを見ようとしていた。望遠鏡を覗き込んでいた。静寂を切り裂いていくつもの声が生まれていた(アレー、ナカナカハズレナイヨー。コワレテルンジャナイノー?
この時点でもうオッパブ常連ではないことはバレただろうし、童貞なこともバレただろう。
 
そう考えると私はなんかもうどうでもよくなってオッパイにむしゃぶりついた。
気が付いたら福沢諭吉が財布からいなくなっていた。そんな話である。